法務博士(職歴無し法科大学院既卒)の一般就活記録・アドバイス2017

法務博士の私が大手企業内定を勝ち取った記録と、法務部を受ける方々へのアドバイス。

就活転向すべき?それとも受験継続すべき?【3】

中途採用市場が売り手市場となり、かつ企業コンプライアンスの重要性が叫ばれるようになった今、法務求人が増えているのは間違いありません。

そのような意味で、司法浪人の就活はかつてよりもやや易しくなっているといえます。

しかも、司法試験合格のための勉強に比べたら、書類作成と面接準備を中心とする就活は、はるかに楽です。

法律知識が問われることはほとんどありませんし、TOEICなどの英語やSPIの勉強はむしろ新鮮で面白いとさえ言えます。

 

もっとも、ナメてはいけないのも事実です。

書類作成においても面接準備においても、しっかりとした自己分析や企業研究が必要となりますが、これはなかなかに大変な作業です。

また、面接の巧拙は予め持っている能力によるところが大きいため、コミュ力のない人にとってはより多くの訓練が必要でしょう(もっとも個人事業主である弁護士のほうが求められる営業力・コミュ力はより高いと思うので、いずれにせよ必要になることです)。

 

作業内容だけではなく、金銭面でもハードルはやや高いです。

まず、就活するうえでたくさんの物が必要になります。

たとえばリクルートスーツを持っていない人は多いのではないでしょうか。

また、交通費もバカになりません。

とくに法務求人は、「首都圏:関西:その他=7:2:1」という感覚です。

一次面接はほとんどの場合交通費宿泊費が払われないので、地方在住だと苦労するでしょう。

 

このように、就活も司法試験ほどでないにせよ決して簡単なものではないので、この点もよく考えたうえで就活転向するか否か検討する必要があります。

就活転向すべき?それとも受験継続すべき?【2】

前回、就活転向すべきか否かについて、弁護士を志望する理由を振り返るべきだと書きました。

それにくわえて、今回は就活を検討すべき人の特徴を2つ挙げておきます。

 

■成績の良くない人、不合格経験のある人

ロースクールでの成績が良くない人(学校のレベルにもよりますが上位ローなら真ん中より下の人)は、早めに就活を検討した方がいいです。

経験則上、ローでの成績が悪い場合、よほど頑張らないと司法試験にはなかなか受かりません。

在学中であれば新卒として選択肢はかなり広いですし、年齢も若いので、かなり有利に立ち回れます。

卒業してしまうと自分の市場価値が年を重ねるごとに急激に落ちていきますので、早めに手を打った方が良いです。

これまでの司法試験への投資があることや、世間体などから、簡単にあきらめるわけにはいかないと思う人もいるかもしれませんが、よほど弁護士に対し強い志望動機があるのでない限り、検討するだけでもしておいたほうが良いです。

不合格経験のある人も同様ですが、こちらは既卒なので更に焦る必要があります。

複数回不合格者なら言わずもがなです。

 

■モチベーションが下がっている人

事務所インターンや授業内で弁護士と関わる機会があると、そのあまりの有能さに圧倒されモチベーションが下がる人もいます。

そのような人はやはり早めに就活転向を検討したほうが良いと思います。

 

まとめると、

・弁護士を志望する積極的理由を欠く人

・成績の良くない人、不合格経験者

・司法試験に対するモチベの低い人

は、就活を一度検討してみることをおすすめします。

 

 

次回は、就職活動のつらさ、厳しさについてお伝えします。

就活転向すべき?それとも受験継続すべき?【1】

今回は就活体験記・アドバイスの前提として、就活への転向を検討されている受験生のために、考える際のアドバイスを提供しようと思います。

 

まず、就活に転向すべきか否かを判断するにあたっては、自分が法曹(レベル層からして、ほぼ弁護士でしょう)を目指した理由を思い返す必要があります。

たとえば次のような理由です。

・自由にやりたい仕事がしたい

・上からこき使われたくない

・社会貢献、弱者救済がしたい

・地位や名誉が欲しい、「先生」と呼ばれたい

・離婚相談や相続相談などで生活問題に密にかかわりたい

・たくさん稼ぎたい

などなど、様々あるでしょう。

 

もっとも、これらの理由が確実に弁護士という職業と結びつくとは限りません。

たとえば、弁護士事務所に入所すれば、そこでの立場は企業の従業員とそう違いなく、やりたい仕事がなんでもできるわけではないし、先輩弁護士との関係は上司との関係とよく似ています。

弱者救済がしたいのであれば、介護職や働きながらのボランティアでも実現可能です。

稼ぎはたしかに弁護士は青天井ですが、必ずしも稼げるとは限らず、むしろ安定的な給与と福利厚生を受けられる一般社員のほうが魅力的な場合もあります(インハウスだと一般社員と大差ない場合も多いです)。

このように、弁護士を目指した理由を振り返ってみると、意外と他の職業にも当てはまるものがたくさんあります。

もちろん、弱者救済と稼ぎを両立したい場合には弁護士が良いでしょうし、このあたりは結局程度問題だといえます。

 

 

こうして志望理由を振り返ってみて、「あれ、弁護士じゃなくてもよくね?」となった方は、就活も一つの選択肢に浮上してくると思います。

私自身、企業法務がやりたいと思っていたので、弁護士じゃなくて法務部員でも良いじゃないか、と考え就活転向しました。

もちろん、弁護士(とくに法律事務所勤務の弁護士)と法務部員とでは、同じ法務といっても業務内容は大きく異なりますが、私にとっては「企業法務」であることこそが大事だったので、それはさほど大きな違いではありませんでした。 

 

ここに書いたことは、とくに中途採用では「転職理由」として、のちに書類作成や面接に関わってくるところでもあります。

多くの方は、大学からローに進学するときに、上のようなことを一通り検討したうえで、就職ではなく進学という結論を出したのだと思いますが、ローで成績が悪かったり司法試験不合格を食らったりするなかで、弁護士への志望度が下がってきている場合には、結論が変わっている可能性は十分にあるので、よく考えておく必要があります。

 

次回も、どのような人が就活転向すべきかという点を掘り下げていきます。

自己紹介

はじめに読者の方々の参考になればと思い、自己紹介しておきます。

身バレを防ぐため、ある程度ぼかしています。

 

年齢:20代後半

性別:男

在住:地方

学歴:学部(法学部)、ローともに早慶クラス

成績:学部は中位、ローは下位

職歴:なし(アルバイトのみ)

資格:普通自動車免許のみ

語学:なし

 

一般的な司法試験受験生のスペックといった感じでしょうか。

学歴について、早慶クラスは就活においては最上位層となるそうですが、実際は学歴よりも英語力のほうが重要となる傾向にあると感じています(後に記事にする予定です)。

私は英語力も資格もないため、少し苦労しました。

 

司法試験はこれまで複数回受験し、いずれも短答合格、論文不合格。

受験回数はまだ残っていますが、2017年の受験後に撤退・就活移行を決意しました。

 

↓希望条件について

業界業種:なし

職種:第1希望 法務、第2希望 総務・人事・監査

地域:第1希望 地元、第2希望 首都圏

給与:年収300~

休日:完全週休2日(年間休日120日前後)希望

   ※ただ実際は105日程度でも応募

福利厚生:多ければよい

その他:大手志向なし

 

↓結果について

エントリー:約15社

書類選考突破:3社

一次選考突破:2社

内々定・内定:1社(1社は一次面接合格後に辞退)

就職活動期間:約5か月(2017年6月~10月)

 

半年近くの活動で計15社ほどしか応募できていないことから、売り手市場といえども未だ応募できる案件が地方では少ないことがお分かりいただけると思います。

 

結果的には、上記希望条件(第1希望の条件)すべてを満たす東証一部上場の大手企業より正式に内定をいただくに至りました。

 

就活において、何か特別なことをしたわけではありません。

よくネット上には「既卒職歴無しの法務博士は中小ブラックくらいにしか受からない」などと書かれていますが、それは時代遅れの書き込み。

いまは既卒法務博士であっても、一部上場大手の内定をとるのはかなり現実的になってきています。

 

とはいえ、就活・転職ノウハウが何一つない職歴無しの既卒法務博士にとって、やはり就活はハードルが高く、簡単なものとは言えません。

そこで今後、当ブログで就活に必要な知識や方法を記事にしていきたいと考えています。

 

少し横道に逸れてしまいましたが、この自己紹介が読者の皆さんの一助となれば幸いです。

 

はじめのごあいさつ

はじめまして、Ron222です。

 

私は法科大学院既卒(法務博士)・職歴無しでありながら、司法試験受験から就職活動に転向し、このたび大手企業の内定をいただいたため、就活体験記やロースクール卒業生たちへのアドバイスを記そうと、当ブログを立ち上げました。

 

「法務博士 就活」等と検索すると、ある程度参考になりそうなブログはありますが、どれもリーマンショック直後、三振制時代のやや古い情報ばかり。

2017年は売り手市場と言われており、6月は有効求人倍率が43年ぶりの高水準。

これに対して司法制度改革による弁護士の飽和はいまなお続いています。

ロー卒・司法浪人が就活に転向するには、今が好機。

ならばこの時期に合った記事を掲載しようと、当ブログの立ち上げを決意しました。

 

法務博士のみならず、法科大学院在学中の方や、法務部への転職を考える方にも参考になるような内容にしていきたいと考えています。

とくに転職の方は、中途採用枠ということで、法務博士と多くの点で共通します。

 

当ブログの記事が一人でも多くの方の参考になれば幸いです。

どうぞよろしくお願い致します。